Sakura 桜 Table

Non-toxic and simple cooking from Japan

Hello world!

このブログを書こうと思ったきっかけは、最愛の祖母が亡くなったことでした。

 

私の祖母は大正生まれで、昔ながらの生活を続けてきた最後の世代と言ってもいいでしょう。

祖母が住んでいた古い日本家屋には、囲炉裏や土間があり、天井には養蚕のための梁が巡らされていました。

長い年月で飴色に染まった木造の柱には、カレンダーが架けられていて、

古くからの年間行事や四季折々の節句が手書きで書き込まれており、

祖母は行事や節句の日に、おはぎや草餅、けんちん汁やおからこなどの、

素朴だけれど出来立ての、本当に美味しいお菓子や郷土料理を作っては、食べさせてくれました。

実家を出ることが分かっていた私は、時々祖母の家にお菓子を習いに出かけては、

この伝統を絶やしてはいけないと思ったものです。

 

祖母が作ってきた食べ物の多くは、単なる和菓子の一種類ではなく、

稲作と農耕によって生計を立て、太陽と雨と土によって命を繋いできた先人の知恵の結晶であり、

いつ、何を食べるかは、それぞれに意味があり、祈りや想いが込められていました。

家を出てからも、何度か祖母に電話して、あのお菓子はいつ食べるものなのか、

どんな意味があるのかと聞いたものです。

 

けれど、暦や節句などを生活に取り入れることは、都会で農耕とは無縁の生活を送る私には無理なことで、

とうとう受け継ぐことはできませんでした。

祖母が、ぼそっと言った言葉が、今でも忘れられません。

 

「絶えてしまう。」

 

いつか、「一年間で、いつ、何を作り、それにどんな意味があるのか」を、聞いてまとめようと思っていたのに、とうとうできませんでした。

 

ただ、いくつかのお気に入りの料理や和菓子は、習うことができました。

祖母のレシピは、忙しい中でも効率よく、少ない材料でできるものばかりですが、

基本的に長期保存には向きません。

また、和菓子屋さんのように、食感を良くするためや、日持ちさせるために砂糖を多用したりもしません。

作ったら、家族で分け合って翌日には無くなる、そんな食べ物ばかりです。

 

また、私たちのために、毎日キッチンに立って、美味しい料理を作ってくれた母のレシピも書き留めておきたいと思っています。

子供の頃から、母の料理が大好きで、世界一美味しいと思っていました。

おしゃれでもなければ、ごく一般的にどこの家庭でも食べていた料理が多いと思いますが、

多くの子供にとってそうであるように、私にとっても毎日がご馳走でした。

 

これらのレシピも、今の私は家でほとんど作ることはありません。

何故なら、昭和の時代の母親たちが作っていた「家庭料理」は、とても手間がかかるもので

その多くが、銀座の洋食屋で数千円払って食べるようなメニューです。

とんかつ、オムライス、エビフライ、コロッケ、グラタン、ハンバーグ。。。

手順を考えただけで、気が遠くなる。

これを毎日、しかも違う料理を作るなんて、私にはとてもできない。

この偉業をやり続けた母を、本当に尊敬する。

そして美味しかった。

 

私には、誰かに受け継ぐ文化も伝統もないけれど、

絶えてしまった一つの文化と、絶えゆくであろう日々の思い出の料理を

いつでも見れるように、書き残しておきたいと思い、このブログを開設しました。

 

また、私のライフスタイルとして、

シリコン、テフロン加工を使わず、添加物を避け、なるべくオーガニックの食品を摂取するようにしています。

そういった生活は、日本では結構努力が必要です。

日本では、オーガニックの食材が当たり前には手に入らず、あったとしても大変高価です。安価な市販品には添加物がどっさり入っており、それが普通になっています。

また、調理に使う道具もレシピも「テフロンありき」が前提で開発されたものが大多数(特に製菓)です。

その中で、使える道具を厳選し、自分はこうやっているよという方法を紹介することで、

テフロン、シリコン無しの生活を実践している人や、これから始めたい人に

何か有益な情報が届けばと思っています。

 

ブログのタイトルは、祖母が大好きだった桜にちなんでつけました。

 

どうぞよろしくお願いします。

 

 

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